高校生への退学勧告を考える2015-06-21 14:17

 今、神戸市内の私立高校に通う2年生の女生徒の保護者から相談を受けています。親への十分な注意喚起もなくいきなり「退学勧告」をされたとのこと。
 生徒は、服装がだらしない、掃除をさぼる、教師に暴言を吐く、遅刻が多い、授業中よく寝ている、提出物を出さないなど問題行動がありました。
 生徒の行動はかなり問題があると思いますが、学校教育法にある通り、生徒への懲戒は、児童等の心身の発達に応ずる等教育上の必要な配慮が必要です。具体的には、広島県教委の資料にあるとおり、事実関係を丁寧に確認すること、停学及び退学は、個々の生徒の状況に応じたきめ細かい指導(段階を踏んだ反省指導)を尽くすこと、改善の見込みがないのかどうか慎重に検討することなどが考えられます。
 しかし、今回の事例は、親への注意喚起が不十分で、生徒への処分もいきなり退学勧告であり、別室での指導や停学などの段階的措置も取られていません。学校が把握している事実関係も一部間違いがありました。これでは、生徒に改善の見込みがあるかどうかの評価もできておらず、学校側の対応はかなり問題がありそうです。学校にはもう少し丁寧な事実関係の把握と生徒の処分に関して、慎重な検討が求められます。
 良し悪しは別として、学校の方針で、「喫煙は即退学」「先生への暴言は即退学」というようなところもあるかもしれませんが、その時は、そのルールを生徒にきちんと周知しておく必要があります。そのルール周知が無く、いきなりの退学や退学勧告は乱暴です。
 他の学校(特に私立学校)でも、同様の事例があるかもしれません。広島県教委では、生徒指導担当教員向けの対応について、私立高校の生徒指導担当にも呼びかけ、情報交換等行っていますが、兵庫県では、そこまでしていません。
 今後、私立高校の生徒指導についても、学校教育法の理念が活かされるよう、県教委と私立高校との情報伝達、意見交換の方法を考える必要がありそうです。
 なお、各弁護士会には、子どもの権利委員会があり、退学勧告等受けた場合は、それが妥当かどうかを含め、無料法律相談をしてくれます。お困りの方は、一度ご相談してみて下さい。
兵庫県弁護士会
http://www.nichibenren.or.jp/…/legal_consulta…/hyogo/11.html
広島県教育委員会資料「高等学校における問題行動への対応について」 
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/upload…/attachment/29573.pdf

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