県教委に 体罰等の根絶を求める申入書提出2019-07-30 10:22

体罰の問題は、尼崎市立高校だけの問題ではないと考え、私は5月に、県教委に2016年度~2018年度までの3年間の体罰報告書を情報公開請求し、報告書を入手すると共に、その内容を評価分析しました。
その評価分析内容ですが、体罰報告件数については、2016年度37件、2017年度26件、2018年度23件、合計86件となっています。
自治体毎の小中学校における体罰報告件数は、姫路市が3年間で16件と突出しており、次に西宮市が6件と続きます。県立高校の3カ年の体罰報告件数は19件、県立特別支援学校における体罰報告件数は6件。
86件の体罰報告書のうち11件が体罰発生から、3ヵ月が経過して提出されており、現場において、体罰が発生した時は、すぐに校長や市教委、県教委に報告をするということが徹底されていないことがわかります。
体罰被害者数で見ると、2016年度75人、2017年度34人、2018年度41人となっており、体罰が確実に減ってきているという評価は、時期尚早だと考えます。
特に中学生の体罰被害者数が、小学生、高校生の3~4倍になっており、中学校での体罰防止策の強化が不可欠です。
また、場面別での体罰を見ると、授業中と部活動中の体罰が3年間ではほぼ同数であり、閉鎖的な空間になりやすい部活動での体罰防止策の強化が必要です。
体罰を行った教師は、30代と50代が多く、少し学校の雰囲気にも慣れてきた30代と、ベテランとして学校全体の責任を任される50代に、生徒指導の役割を任せる傾向にあるのかもしれません。それらの職員向けに研修をすることが考えられます。
体罰内容の内訳は、頬を平手で叩く(24件)、頭を平手で叩く(24件)場合が多く、次に胸ぐらなどを掴む(22件)、尻や足などを蹴る(12件)、暴言(7件)となっています。
体罰による怪我などの件数は、2016年度10件、2017年度15件、2018年度5件となっています。最も重い被害は、2017年度の鼻骨骨折・左鼻出血で全治4週間の診断が出ています。他に頸部擦過創で全治2週間、打撲で全治10日、頭部裂傷、下唇裂傷など、体罰により、生徒にかなり強い力が加えられたと考えられる事例も少なくありません。このような事例は、教師が、冷静に生徒を叩いているのではなく、感情に任せ体罰を行っているのではないかと考えられます。
主な体罰の原因は、3年間合計で、部活動の態度によるものが32件。練習の成果が出ず、プレーが怠慢だったから、が半数の16件。気持ちの鼓舞のため4件。授業中の態度33件。私語や集中して聞かない、が16件。児童生徒の差別的言動が7件。他の生徒にいたずら、悪ふざけしたものが4件。髪型など頭髪違反が3件です。
内容を見ると、生徒が体罰を受けなければならなかった事例は、なかったように思われます。

以上のことを踏まえ、次の体罰根絶策を申し入れる。
・全市町立小中学校、県立公立での体罰、パワハラアンケートを実施し、体罰・パワハラの実態調査を丁寧に行うこと。
・24時間対応のひょうごっこ悩み相談(いじめ、体罰、こども安全)窓口の周知に努めること。
・市町教委に対し、体罰発生時にすぐに県教委に報告するよう指示すること。
・教師の体罰やパワハラを禁止していることについて、印刷物などで児童・生徒に周知すること。
・子どもの権利条約(特に第19条)について、児童・生徒が学べる場を確保すること。
・研修において、子どもの権利条約の内容の周知を教員に図ると共に、教師のコミュニケーション能力アップ、アンガ-コントロールなど、体罰・パワハラを回避するための研修の強化を行うこと。
・体罰・パワハラによる教師の処分の基準を明らかにし、体罰の防止策の強化を図ること。
・校則、生徒心得などの点検を行い、随時、生徒と共に見直し、生徒が社会の中で生きていく力、問題解決能力を養うような学びの場を保障すること。
・教師にゆとりを持たせるために、中学校において、少人数学級の導入を進め、教師が生徒としっかり向き合えるようにすること。併せて、留守番電話の導入、事務の簡素化など多忙化を解消すること。

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