丸尾選挙(県政)報告会について2025-03-28 18:38

                  意見書
                                 弁護士     
1 主位的主張(構成要件該当性の欠如)
丸尾氏が一昨年の県議会議員選挙後に行った4月23日県政(選挙)報告会について、下記の法律に違反するとの指摘があります。
公職選挙法第178条第1項第1号では、挨拶する目的をもって、選挙人に対して個別訪問することや、当選祝賀会やその他の集会を開催することが禁じられています。またこれを受け、同法第245条は「第178条の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処する。」と規定しています。それに該当するのではとの指摘です。
この点、公職選挙法第178条第1項の立法趣旨は、挨拶行為を制限し、お金のかからない選挙を目指すことと、期日後の挨拶行為が事後買収の温床となりやすいという点にあります。
一方、民主主義が機能するためには、有権者の知る権利(憲法第21条1項が保障する表現の自由の一環として保障されています。)が充足されなければなりません。知る権利を実現する観点からは、国会議員・都道府県会議員・市区町村会議員が有権者に対し、国政や地方政治に関する報告を行うことは、むしろ憲法尊重擁護義務(憲法第99条)の一環としての義務にあたります。とりわけ、公職選挙法第178条1項5号の「当選祝賀会その他の集会」を拡張解釈して、「挨拶する目的」を伴わない県政集会まで禁止されるなどと解することは、集会の自由(憲法第21条1項)を保障した日本国憲法の下ではおよそ許されるものではありません。
以上より、公職選挙法第178条が禁じる祝賀会やその他の集会とは、あくまでも挨拶を目的とした集会に限定されます。
この点、丸尾氏の集会は、①表題が「選挙報告会」ないし「県政報告会」であり、②行った活動も丸尾氏が取り組んでいる情報公開、人権擁護、地域経済活性化、福祉社会構築といった県政課題の報告が多くを占めていますので、「挨拶する目的」でなされた当選祝賀会に該当しないことは明白です。
なお、参考までに、公職選挙法第178条第2号が禁じる、事務所への当選御礼の張り紙はよく見かけるところですが、法的に疑問が残ることから、丸尾氏は一切そういうことは行っていません。また、この集会において提供された飲食物には、参加者は参加費を払っています。


2 予備的主張(可罰的違法性の欠如)
 また、万が一、集会の一部で挨拶をした程度で挨拶目的があったとしても(そのような解釈運用が憲法21条に抵触することは前述の通り)、そのような集会の開催は、名称は別として、ほぼ全ての当選者が開催している実態があると思われます。
選挙管理委員会による当選が発表された時に、陣営が呼びかけて支援者等が集まる場合や、人々が自然に集まる場合がありますが、いずれにせよ、そこで、候補者が挨拶した時点で、挨拶を目的とした集会が開催されたと解釈するのが不合理であることは「1」で述べた通りです。少なくとも可罰的違法性は欠如していると思われます。
FB等で確認したところ、上記のような、選挙に近接して開催される集会は、以下の3種類があるようです。①当選報告会、選挙報告会と称し、当選発表後、報告会を開催する場合(名称をつけない場合あり)。②後日、選挙報告会という名称で、報告会を開催する場合。③後日、市政・県政報告会などと称し、開催する場合。なお②と③は、4年間の政策、取り組み方針の発表、会場からの意見の聞き取りなど、類似の内容になっているものと考えられます。

以上の状況を考えた時に、挨拶目的かどうか線引きは非常に難しく、政策などを含めた報告がされていれば、挨拶目的と解するのは困難と思われます。単に選挙結果とお礼を述べる場であったのみ、法に規定する挨拶目的の会合と見做すのが、憲法21条に適合する解釈です。仮に丸尾氏のような行為(詳細は「1」)が「挨拶目的」とされたとしても、この程度の行為では可罰的違法性を欠くのは明らかといえます。

公職選挙法 第178条第1項(選挙期日後の挨拶行為の制限)
何人も、選挙の期日(第百条第一項から第四項までの規定により投票を行わないこととなったときは、同条第五項の規定による告示の日)後において、当選又は落選に関し、選挙人に挨拶する目的をもって次に掲げる行為をすることができない。
第1号
選挙人に対して戸別訪問をすること。
第2号
自筆の信書及び当選又は落選に関する祝辞、見舞等の答礼のためにする信書並びにインターネット等を利用する方法により頒布される文書図画を除くほか文書図画を頒布し又は掲示すること。
第3号
新聞紙又は雑誌を利用すること。
第4号
第百五十一条の五に掲げる放送設備を利用して放送すること。
第5号
当選祝賀会その他の集会を開催すること。
第6号 自動車を連ね又は隊を組んで往来する等によって気勢を張る行為をすること。
第7号 当選に関する答礼のため当選人の氏名又は政党その他の政治団体の名称を言い歩くこと。

(選挙期日後のあいさつ行為の制限違反)
第245条 第178条の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処する。

                                   以上

百条委員会報告書 知事のパワーハラスメントについて2025-03-08 17:54

(1) 委員会としての判断
ア 認められる事実
知事のパワーハラスメントについて
㋐ 齋藤知事は、令和3年9月頃、朝刊に載っていた尼崎のフェニックス用地に万博資材の運搬拠点を設ける方針を固めたという記事について、「こんな話は聞いていない」と机を叩きながら声を荒げて怒った。
㋑ 令和5年5月、施設の開設について、齋藤知事に説明したところ、「こんな話聞いていない」と叱責があり、令和5年度当初予算の記者発表資料を見せたところ、「これで知事が知っていると思うなよ」という強い叱責が再びあり、開所式のスケジュールを変更せざるを得なくなった。
㋒ 齋藤知事は、令和4年10月のイベントで、更衣室に見知らぬ男性がいたため驚いて、事前に確認して更衣室を用意しておくべきだったのではないかと職員に注意した。
㋓ 齋藤知事は、令和5年11月の東播磨地域づくり懇話会において、エントランスにつながる通路の車止めの手前で知事公用車が停車して車から降りてきた時に、「なんでこんなところに車止めを置いたままにしているんや」と県幹部職員に対し怒鳴った。当該職員は、非常に強い叱責のため頭の中が真っ白になった状態で車止めを移動させた。知事は、職員が車止めを移動させた後も非常に強い叱責をした。職員は、社会通念上、業務に必要な範囲の指導とは思わず、理不尽な叱責を受けたと感じた。その後、知事が会場を後にする際、職員に対し、謝罪やねぎらいはなかった。
㋔ 齋藤知事は、片山氏に対し、令和6年3月上旬頃、県立大学の無償化の国会議員等への根回しに、すぐ動くようにと指示したことを片山氏が忘れていたことに怒り、アクリル板に向けて付箋を投げた。
㋕ 齋藤知事は、所管課長に対し、令和5年1月の知事協議の際に、政務調査会資料に記載のあった所管事業が朝刊に載っていた記事を見て、「大阪府と連携すると書いている。これ聞いてへん。この事業は知事直轄なんだから勝手にやるな」と、かなり厳しい口調で叱責し、「やり直し」と所管課長を知事室から退室させた。所管課長は再度、知事に説明しようと何度も秘書課に伝えたが、説明の機会がなかった。所管課長は1年で異動した。
㋖ 齋藤知事は、令和5年度、複数の幹部職員との間で、全部で4,885件のチャットのやり取りをし、そのうち約44%の2,165件が夜間や休日に送られた。

イ 事実に対する評価
齋藤知事が、執務室や出張先で職員に強い叱責をしたことは事実と評価でき、文書内容は概ね事実であったと言える。
齋藤知事の「業務上必要な範囲で指導や注意をした」との証言に対して、叱責を受けた側の証言では、事情を確認されることなく「社会通念上必要な範囲とは思わなかった」「指導として必要のない行為」「理不尽な𠮟責だった」、「県職員になってこれまでないというぐらいの叱責を受けた」や、「県庁での職員生活の中で、机をたたいて怒鳴られたというようなことが初めてだった」、他の職員がいる前で「頭が真っ白になるほどの叱責」、さらに「異動させられるという予感のもと実際に1年で異動させられ理不尽と感じた」「トータルに見てパワーハラスメントと評価できる事案かなと思った」等の証言があったことを踏まえると、「パワハラを受けた」との証言は無かったものの、パワハラ防止指針が定めるパワハラの定義である「①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすもの」に該当する可能性があり、不適切な叱責があったと言わざるを得ない。
県事業がテレビで取り上げられた件であるが、県の事業は膨大にあるため、テレビで知事の知らないことが取り上げられることもあり、「聞いていない」ことを理由に職員を叱責することは妥当性を欠いた行為である。仮に叱責することがあるとすれば、テレビでの県職員の説明に大きな過失があり、県に損害を生じさせる恐れがあった場合などが考えられるが、証言等で明らかになったケースは、そのような場合にあたらない。
知事協議の際の叱責であるが、部局の説明をよく聞いていない、あるいは聞いていても失念していると思われる事業に対して、全く知らないということで、説明する機会も与えずに「聞いていない」と叱責するとの証言が複数あったことから、事業への関心の度合によって、認識の深さに差が生じていると思われる。また、部局の説明時に齋藤知事は別のことをしているなど、説明を真剣に聞いていないと感じたとの証言があったことも踏まえ、どの事業も同じ目線で担当課の説明を聞くという姿勢が欠けており、知事としての対応に疑問が残る。
考古博物館で20m歩かされた件に関連して、齋藤知事の発言から行程管理を重要視していることは理解できる一方で、知事自身が朝の予定時間によく遅れてくる、また、その際に謝らないこともあるとの証言もあることから、部下には高い水準を課しながら、自分はその基準を守らず特別扱いとする態度は、公平性と信頼を損なう言動であり、本来は模範となるべき知事の取る言動ではない。また、齋藤知事は車から降りるなり、対応した職員に対し、車止めをしている理由を聞くこともなく、大声で叱責をしている。職員からすれば、車止めを入り口から20m離れたところに設置したことは会場施設のルール上やむを得ないものであり、車止めを認識した後も強い叱責することは不合理であり、極めて理不尽な叱責であると言える。
叱責の際に付箋を投げる行為は、知事という立場に鑑みると、投げたものの形状にかかわらず、その行為自体威圧的なものであり、副知事その他職員を萎縮させるものである。
齋藤知事の非常に強い叱責や理不尽な言動によって、職員が齋藤知事に忖度せざるを得ず、救護室・授乳室を知事の控室にしたり、車両が通行できない範囲に知事公用車を通行させたりする等、ルールに則った県民本位の職務遂行が叶わなくなっている面があり、極めて深刻な事態が確認できた。
また、強い叱責を受けた当事者本人の就業環境に明らかな影響がなくとも、実際に見聞きしている同僚への心理的負担や組織の閉塞感につながり、適切な職場環境を構築するべき組織のトップの言動としては極めて不適切である。
さらに、職員の証言や提出資料によると、齋藤知事から幹部職員へのチャットの数は膨大なもので時間外や休日問わず頻繁に送られていた。1年間に複数の幹部職員との間で夜間、休日などの業務時間外のチャット数は2,165件と多く、その内容については業務上必要性が認められるものもあるが、夜間や休日に送信しなくても問題ないと思われるものもあった。もっとも、夜間、休日の送信頻度や「返信不要」などの配慮がないこと、チャットでの反応がない時に関係職員に業務時間外に電話をかける行為もあり、緊急性を要しないにもかかわらず、夜間や休日にクイックレスポンスを求めることは働き方改革が求められる今日において、前時代的な仕事のやり方であると言わざるを得ず、業務の適正な範囲を超えたものであり、就業環境を害されているといえる。また、チャットのグループ内で叱責するなど一部の内容については、職員らの過度な精神的負担になっていたと考えられる。
以上のように、齋藤知事の言動、行動については、パワハラ行為と言っても過言ではない不適切なものだった。

(2) 提言
証言にもあるように、明らかに業務上必要な叱責ではなかったことも認められるが、齋藤知事は「業務上必要な範囲で指導や注意をした」との認識を変えていない。業務上必要な範囲ではない、不適切な指導が複数あったということをまずは知事自身が認めることが重要であり、言動を真に改める姿勢を持たなければならない。
一方で、昨年4月4日付けの職員公益通報事案の調査結果及び公益通報委員会の審議等を踏まえ、12月11日に「県民の信頼確保に向けた改善策の実施」の中でハラスメント研修の充実として組織マネジメント力向上特別研修の実施が是正措置として記者発表され、一定の措置が講じられており、是正する必要があるとの認識が示されていると考えられる。
知事当局に以下のことを求める。
・知事、副知事などの特別職を含め管理職等のアンガーマネジメント研修などを行い、風通しの良い職場環境が確立できているか定期的に検証する仕組みを取り入れること。
・チャットやメールについては、特に夜間や休日に指示をする際には、緊急性を要する用件のものに限るか、緊急性がないチャットやメールには即時の返信を必要としない、あるいは返信を求めないなど取り扱いを定めること。
・齋藤知事は、組織のトップとして、自身の言動が組織に及ぼす影響を常に意識するとともに、多様な意見に耳を傾けることで率先して働きやすい職場づくりに努めること。

報告書全文
https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/tokubetsu/bunsho/documents/bunshohoukokusho.pdf

知事告発文書問題に関する百条委員会調査について2024-11-11 16:19

百条委員会として、告発文書の事実確認等を丁寧に調べてきました。その中で、パワハラ、贈答品について、事実が一定明らかになりました。
また公益通報者保護法に関する対応も、「告発者探索、不利益処分などは違法ではないか?」と、概ねの共通認識が出来ました。
その内容は、百条委員会でのやりとりでご確認下さい。
8月30日百条委員会 テーマ パワハラ 知事出席 
https://www.youtube.com/watch?v=XfbmhrWWyEs&t=651s

9月5日午前 百条委員会 公益通報、贈答品 奥山上智大学教授 公益通報専門家 出席
https://www.youtube.com/watch?v=46Ge0ozlmjI&t=5869s

9月5日午後 百条委員会 公益通報、贈答品 藤原弁護士、原田部長
https://www.youtube.com/watch?v=8FIZMq1D-D4&t=7307s

9月6日午前 百条委員会 公益通報、贈答品 原田部長、片山元副知事 出席 
https://www.youtube.com/watch?v=FWd5UzVD1vg&t=1032s

9月6日 午後 公益通報、贈答品 知事出席 公益通報者保護法改正を検討する政府審議会に参加している山口弁護士出席
https://www.youtube.com/watch?v=JoSnKfPZGAc&t=1964s


知事選挙での混乱について
中間報告書などを作成せずに、県議会として、不信任決議を行ったことから、百条委員会は出鱈目だ、百条委員会は、「嘘ばっかり」だというような事実と異なる発言を、社会が許容してしまう環境を作り上げる一因に、なってしまいました。
個人的には、百条委員会を最後までやり遂げた後に不信任案提出が好ましいと、他の議員にも働きかけましたが、会派間調整の場で、不信任案提出が決まり、「今は議会が纏まることが大事、仮に議会解散になっても、百条委員会を再設置するよう」意見を伝え、私も不信任案提出に賛成しました。

百条委員会において、公益通報者保護法に違反している可能性が高いことについて、共通認識が出来、パワハラ、贈答品などについても、一部事実が確認され、世論の大きな高まりもあり、不信任決議が1つの選択肢として、出てきました。

その前段で、情報収集するために行った県職員アンケートの結果も貼り付けておきます。兵庫県職員アンケートは、直接見聞きした、人づてに聞いたなど、様々な形があることから、それが直ちに事実ということではなく、それらの情報を参考にして、事実に辿り着けたらということで、行ったものです。実際に事実確認の調査では、アンケートが大変役立っています。
対象者約9700人 回答総数6725件、そのうち記名6.9%466人、証人尋問等協力する315人ということでした。
・8月23日公開分
「兵庫県職員アンケート調査」中間報告(PDF:2,145KB)
https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/tokubetsu/bunsho/documents/060823_2.pdf
・ 10月11日公開分
「兵庫県職員アンケート調査」集計結果(全体)(PDF:91KB)
https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/tokubetsu/bunsho/documents/bunsho_questionnaire1011.pdf
・「兵庫県職員アンケート調査」中間報告以降ネット回答分報告(PDF:2,070KB)
https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/tokubetsu/bunsho/documents/bunsho_questionnaire1011_01.pdf
・「兵庫県職員アンケート調査」郵送回答分報告(PDF:1,197KB)
https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/tokubetsu/bunsho/documents/bunsho_questionnaire1011_02.pdf

それらのアンケートも参考にしながら、百条委員会での調査があり、ある程度の内容が確認出来ました。つまり、告発文書の記載内容は、少なくとも一定の事実が存在し、公益通報として、取り扱うべきであったと考えられます。
また、県の県民局長への対応については、公益通報者保護法で禁止されている告発者探索、不利益処分などは、違法である可能性が高いという共通認識が出来ました。

皆さんも、一次資料を確認した上で、百条委員会における調査についてのご理解をいただければ幸いです。

内部告発文書調査のための第3者機関設置を求める申入書提出2024-05-19 18:05

                              2024年5月15日
兵庫県知事 斎藤元彦 様
  兵庫県議会議員 丸尾 牧

改めて内部告発文書調査のための第3者機関の設置を求める申入書

兵庫県は、5月7日前西播磨県民局長が今年3月に議員やマスコミなどに配布した内部告発文書について、知事や一部幹部職員を誹謗中傷し、多方面に流出させたことで、県政への信用を著しく損なわせたとして、その他の問題と併せ、停職3月の懲戒処分を発表しました。
この部分について、大きな違和感があり、意見を述べます。上智大学の奥山俊宏教授がXや新聞記事で、「通報内容に誤りや思い込みが若干含まれていても、刑法に抵触すると信じるに足る相当の理由があれば、法的保護の対象となる公益通報に該当する可能性がある」「文書の内容が嘘八百ではなく真実相当性がそれなりにあるのであれば、『公益通報』に該当し、文書を作成した県幹部職員への報復的処遇が違法性を帯びる可能性がある。」とコメントしています。少なくとも、その可能性があるのであれば、本件については、公益通報の判断を待ち、その上で処分を検討しても遅くはないはずです。県幹部職員が、知事が発言した「嘘八百」に沿う形で、影響力を行使しやすい人事課の調査を先行させ、公益通報委員会の結果も、外形的に縛ろうという意思があるのではないかと疑ってしまいます。

そこで、改めて、内部告発文書の事実関係を見てみます。
告発文書(例4)知事は驚異の衣装持ち。特にスポーツウェア。メーカーにすれば知事は動く広告塔。これも貸与と言えるかどうか。
この問題を人事課に聞くと、知事は、兵庫県内のスポーツメーカーから、Tシャツ3枚、ポロシャツ3枚、冬用トレーニングウェア上下セット(1枚ずつで2枚と換算)、夏用トレーニングウェア上下セット(同)、ベンチコート1枚、ベンチコートハーフサイズ1枚、シューズ3足(ウォーキングシューズ1足、ランニングニュース2足《黒とシルバー》)を提供され、イベント時等に着用しています。
県民局長は、告発文書の中で「貸与と言えるかどうか」と疑問を示していますが、事実関係は概ね間違いありません。
他にも、知事は、2023年12月9日姫路シリーズ神戸ストークス戦、12月9日ラグビーリーグワンコベルコ戦で53番のユニフォームを着ており、それも提供してもらっているようです。

内部告発文書⑥優勝パレードの陰で
「そこで、信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで補った。」
 私が、地域産業経済課に確認したところ、10月頃に中小企業への事業継続支援として、事業者への伴走支援を実施する金融機関に対する補助を継続することを決め、実際の支出はまだ先ですが、既に4億円の交付決定が行われています。その補助を受ける金融機関20社中12社が優勝パレードで寄付をした金融機関です。
 「前年度よりも補助総額が下がったから問題なし」ではなく、翌年度に継続が決まっていない事業が、なぜ継続されるようになったのか、その経緯について、もう少し掘り下げた調査が必要です。
また、内部告発文書では、「パレードを担当した課長はこの一連の不正行為と大阪府との難しい調整に精神が持たず、うつ病を発症し、現在、病気休暇中。」との記載があり、私も異動されたと聞いています。パレード寄付金を集める業務を行っていたと聞きますが、どのような業務に従事していたか、幹部職員から過度に負担を押し付けられていなかったのかなど、明らかにすることが必要です。

知事等の行動、言動等に関するアンケート結果
 アンケートでは、様々な指摘があるが、匿名であり、事実関係は不明である。ただ、知事のパワハラについては、21人中7人の指摘があり、具体的な記載もあります。県職員が知事に怒られないよう委縮している様子が窺えます。20m手前で公用車から降りて怒鳴り散らされた件は、前西播磨県民局長と同じ指摘です。パワハラ部分は県民局長の記載は正しいとのコメントもあります。イベント開催時にマスコミ取材がなかった時に怒鳴り散らされ、15分前に現場に着かなかったら運転手が交代させられるというのも立派なパワハラだと思います。文章を読んだ限りにおいては、いずれも常識の範囲を超えるパワハラに該当する行為だと考えます。他の幹部職員のパワハラ記述もあり、知事のパワハラの事実確認だけではなく、県全体として、パワハラアンケートなどを含めた実態調査と再発防止策の実施が必要だと思われます。
 物品供与についても、6人の指摘があります。知事は、ゴルフセットなどを貰っているという記載もあり、市川町のゴルフメーカーに直接聞き取りするなど再調査が必要です。パレードを行った民間企業から無料チケット等を貰うのは問題があり、事実関係を確認する必要があります。斎藤知事は53代目ということで、X上で、53番のユニフォームを着た写真が複数上がっています。2023年12月9日姫路シリーズでの神戸ストークス戦、同日ラグビーリーグワンでのコベルコ戦。知事の要望で53番のユニフォームを企業側に作成してもらい、提供してもらっているのであれば、企業側に過度に負担をかけ好ましくないと思います。
 はばタンペイなどの知事写真掲載は、県職員が自主的に掲載しているのかと思っていましたが、知事発案なのであれば、止めた方が良いと思います。知事が物品を配るイメージがつくものは、好ましくないと思います。
 人事配置の疑問も出されています。井戸知事時代のやり方から変わり、不満の出てくる部分はあるでしょうが、県職員がある程度納得出来る合理的な形にしないと、全体の力が大きく削がれていくことになります。それを、パワハラなど力を持ってコントロールしようとすれば、さらに逆効果になります。

2024年5月13日ネット記事ハンターの事実確認も必要です。
(抜粋)「内部告発に名前の出ているうちの2人から、私はハッキリと『知事選は斎藤で頼む。商工会でも応援してほしい』という趣旨のお願いをされましたから。うち1人に対して『金沢さんの方からも言われている』と難色を示すと『知事は斎藤に決まりや。こっちを応援しないとえらいことになるぞ』。県民にそんなこと言ってええのかと思ったので、とてもよく覚えています。内部告発は事実。選挙前に県職員が選挙運動していいのかなと思いました」

「優勝パレードに寄付した信用金庫がうちの会社の取引金融機関です。昨年12月の忘年会で信用金庫の幹部と話した時に、『兵庫県は、小さな信用金庫にまで寄付を求めてくる。すぐ返事しないでいると補助金がついた。そのお礼で寄付した。いい宣伝にはなったが、露骨だ』とぼやいていました。ハンターの内部告発記事などをSNSで送信してやったら、すぐに電話があって『こんなことが表になったら大変だ』と声は上ずり、すっかり動顛していました」
「表になったら大変」という言葉は、内部告発のような「事実」があるから発せられたと考えるのが自然だろう。
 
以上のことを踏まえ、私はこれまでの県の対応について、次のように判断致します。
前県民局長は、決して少なくない職員の中で当たり前に語られていたことを、文書に記しただけではないかと考えます。現時点における県の事実確認が不十分であり、正確性に欠ける部分はあるが、大まかな事実はあっているものが、かなり存在していると言えるのではないでしょうか。
前県民局長の内部告発文書について、パワハラ問題などを含め、まだはっきりしていないものや、新たな情報が明らかになってきている中で、誹謗中傷文と断定するのは、時期尚早です。事実確認の調査を継続すべきでしょう。また事実確認が不十分な中での懲戒処分は、極めて大きな問題があると考えます。

それらのことを踏まえ、次のことを申し入れます。
1. 第3者機関を設置し、告発文だけではなく、今回のアンケート結果の内容等を調査し、マスコミ記事も参考にし、パワハラなどを含め今回の内部告発文書問題の事実関係を明らかにすること。
併せて、複数の幹部職員が関与している可能性のある県庁内でのパワハラ実態把握のため、パワハラアンケート調査を実施すること。
人事課の調査結果を公表すること。
第3者機関は公開する共に、事務局を外部に委託し、委員には、専門家、県民などを公募し、知事、副知事、人事課などの意思を一切排除すること。
2. 知事がこの3年間に受け取った提供品の一覧表を作成し、その処理についても明らかにすること。(秘書課などで管理しているもの、返還したもの、廃棄したもの、個人で持ち帰ったもの)
3. 今後のあらゆる調査に、公平公正を期すため「嘘八百」を撤回すること。
4.パレード担当課長が4月に自死したという話が出ているが、事実関係とその経緯を明らかにすること。
5.以上の内容を明らかにした上で、県民、県職員などに広く意見を募り再発防止策を策定すること。

松枯れ防止のための農薬空中散布がやっと中止に!2023-12-05 14:25

2013年に兵庫県議会予算特別委員会で(全国で断トツ1位の散布面積であった)松枯れ防止のための農薬空中散布について質問し、農薬空中散布される地域で、健康被害アンケートを3度ほど取り、毎年の予算申しれで、健康被害が出る可能性があるからと中止を求めてきました。
新年度の予算申入書案に同様の内容を記載したところ、その農薬空中散布が、今年度から廃止になったという報告を受けました。

効率を優先し、住民の健康被害を考えない乱暴な事業でしたが、中止になって良かったです。ちなみに農薬は、ネオニコチノイド系の農薬でした。以下2013年予算特別委員会の質問です。

次に、松枯れ防止のための農薬空中散布についてお伺いする。
 全国では、松枯れ防止のために行う農薬空中散布は、地上散布、木に農薬を入れる樹幹注入、生物農薬、あるいは樹種転換などに切り替えられ、年々、散布面積は大きく減少していっている。その全国の流れに沿うように、延べ散布面積が全国第1位をキープし続けている兵庫県でも、散布面積は減ってきた。それでも、2011年度で見ると、兵庫県の散布面積が全国の15%程度を占め、農薬空中散布王国の座を譲ることはない。
 そこで、私は2008年から、農薬空中散布後の健康被害アンケート調査を毎年、場所を変えながら実施してきた。参考までに、2008年度から散布されている農薬は、チアクロプリド水和剤で、ネオニコチノイド系の農薬の一種と言われている。そのアンケートの中では、健康被害の可能性を示唆した人は、2008年、2009年、2011年と3回あり、計10名の方がいらっしゃった。いずれも医者の診断を受けたものではないので、因果関係の証朋はできていない。
 農薬空中散布の賛否については、総数では賛成が上回るが、地域ごとで見ると、5ヵ所のうち2ヵ所で反対が賛成を上回っており、反対も一定数いることが分かる。ただ、サンプル数が少ないので、これはあくまで参考にしかならない。
 なお、ネオニコチノイド系農薬については、安全だという意見がある一方、蜂だけではなくて人間の脳も侵され、発達障害の原因の一つになる可能性もあると話している脳神経科学者も存在している。また、アンケートの中では、農薬空中散布の時期から体調が悪くなるのでやめてほしいとの化学物質過敏症の方の意見もあった。
 2011年度、長野県では、農薬空中散布について、住民からパブリックコメントをとるなど住民の意見を聞いて、化学物質過敏症の人や小児等への影響については分からないが、影響の可能性を否定することもできないと考えられるため、より安全性の確保が求められるとの考え方をまとめた。そして、可能な場合は、農薬の空中散布は、住宅地から200メートル離した上で、道路沿いから150メートル以内では他の予防方法を活用、空中散布の風速の制限を秒速5メートルから秒速3メートルへと強化、より安全性の配慮が必要な場合には、有機リン系以外の薬剤使用を選択する。散布実施地から1キロメートル以内の集落・河川などで必要な場合は、気中濃度調査、水質調査を実施するとしている。
 また、従来から、農薬空中散布の住民への周知では、散布後1週間程度は散布地域に入らないこと、山菜等はとらないこと、農作物、牧草等は使用しないこと、ミツバチを疎開させることなどを伝えている。
 全国的にも、松枯れ防止の農薬空中散布の散布面積、事業費が減っている中、私は、兵庫県においても最低限、長野県に準じた対策とパブコメなどの対話手法をとるべきだと考えている。県当局の所見をお伺いする。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/nk22/af17_000000007.html