内部告発文書調査のための第3者機関設置を求める申入書提出2024-05-19 18:05

                              2024年5月15日
兵庫県知事 斎藤元彦 様
  兵庫県議会議員 丸尾 牧

改めて内部告発文書調査のための第3者機関の設置を求める申入書

兵庫県は、5月7日前西播磨県民局長が今年3月に議員やマスコミなどに配布した内部告発文書について、知事や一部幹部職員を誹謗中傷し、多方面に流出させたことで、県政への信用を著しく損なわせたとして、その他の問題と併せ、停職3月の懲戒処分を発表しました。
この部分について、大きな違和感があり、意見を述べます。上智大学の奥山俊宏教授がXや新聞記事で、「通報内容に誤りや思い込みが若干含まれていても、刑法に抵触すると信じるに足る相当の理由があれば、法的保護の対象となる公益通報に該当する可能性がある」「文書の内容が嘘八百ではなく真実相当性がそれなりにあるのであれば、『公益通報』に該当し、文書を作成した県幹部職員への報復的処遇が違法性を帯びる可能性がある。」とコメントしています。少なくとも、その可能性があるのであれば、本件については、公益通報の判断を待ち、その上で処分を検討しても遅くはないはずです。県幹部職員が、知事が発言した「嘘八百」に沿う形で、影響力を行使しやすい人事課の調査を先行させ、公益通報委員会の結果も、外形的に縛ろうという意思があるのではないかと疑ってしまいます。

そこで、改めて、内部告発文書の事実関係を見てみます。
告発文書(例4)知事は驚異の衣装持ち。特にスポーツウェア。メーカーにすれば知事は動く広告塔。これも貸与と言えるかどうか。
この問題を人事課に聞くと、知事は、兵庫県内のスポーツメーカーから、Tシャツ3枚、ポロシャツ3枚、冬用トレーニングウェア上下セット(1枚ずつで2枚と換算)、夏用トレーニングウェア上下セット(同)、ベンチコート1枚、ベンチコートハーフサイズ1枚、シューズ3足(ウォーキングシューズ1足、ランニングニュース2足《黒とシルバー》)を提供され、イベント時等に着用しています。
県民局長は、告発文書の中で「貸与と言えるかどうか」と疑問を示していますが、事実関係は概ね間違いありません。
他にも、知事は、2023年12月9日姫路シリーズ神戸ストークス戦、12月9日ラグビーリーグワンコベルコ戦で53番のユニフォームを着ており、それも提供してもらっているようです。

内部告発文書⑥優勝パレードの陰で
「そこで、信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで補った。」
 私が、地域産業経済課に確認したところ、10月頃に中小企業への事業継続支援として、事業者への伴走支援を実施する金融機関に対する補助を継続することを決め、実際の支出はまだ先ですが、既に4億円の交付決定が行われています。その補助を受ける金融機関20社中12社が優勝パレードで寄付をした金融機関です。
 「前年度よりも補助総額が下がったから問題なし」ではなく、翌年度に継続が決まっていない事業が、なぜ継続されるようになったのか、その経緯について、もう少し掘り下げた調査が必要です。
また、内部告発文書では、「パレードを担当した課長はこの一連の不正行為と大阪府との難しい調整に精神が持たず、うつ病を発症し、現在、病気休暇中。」との記載があり、私も異動されたと聞いています。パレード寄付金を集める業務を行っていたと聞きますが、どのような業務に従事していたか、幹部職員から過度に負担を押し付けられていなかったのかなど、明らかにすることが必要です。

知事等の行動、言動等に関するアンケート結果
 アンケートでは、様々な指摘があるが、匿名であり、事実関係は不明である。ただ、知事のパワハラについては、21人中7人の指摘があり、具体的な記載もあります。県職員が知事に怒られないよう委縮している様子が窺えます。20m手前で公用車から降りて怒鳴り散らされた件は、前西播磨県民局長と同じ指摘です。パワハラ部分は県民局長の記載は正しいとのコメントもあります。イベント開催時にマスコミ取材がなかった時に怒鳴り散らされ、15分前に現場に着かなかったら運転手が交代させられるというのも立派なパワハラだと思います。文章を読んだ限りにおいては、いずれも常識の範囲を超えるパワハラに該当する行為だと考えます。他の幹部職員のパワハラ記述もあり、知事のパワハラの事実確認だけではなく、県全体として、パワハラアンケートなどを含めた実態調査と再発防止策の実施が必要だと思われます。
 物品供与についても、6人の指摘があります。知事は、ゴルフセットなどを貰っているという記載もあり、市川町のゴルフメーカーに直接聞き取りするなど再調査が必要です。パレードを行った民間企業から無料チケット等を貰うのは問題があり、事実関係を確認する必要があります。斎藤知事は53代目ということで、X上で、53番のユニフォームを着た写真が複数上がっています。2023年12月9日姫路シリーズでの神戸ストークス戦、同日ラグビーリーグワンでのコベルコ戦。知事の要望で53番のユニフォームを企業側に作成してもらい、提供してもらっているのであれば、企業側に過度に負担をかけ好ましくないと思います。
 はばタンペイなどの知事写真掲載は、県職員が自主的に掲載しているのかと思っていましたが、知事発案なのであれば、止めた方が良いと思います。知事が物品を配るイメージがつくものは、好ましくないと思います。
 人事配置の疑問も出されています。井戸知事時代のやり方から変わり、不満の出てくる部分はあるでしょうが、県職員がある程度納得出来る合理的な形にしないと、全体の力が大きく削がれていくことになります。それを、パワハラなど力を持ってコントロールしようとすれば、さらに逆効果になります。

2024年5月13日ネット記事ハンターの事実確認も必要です。
(抜粋)「内部告発に名前の出ているうちの2人から、私はハッキリと『知事選は斎藤で頼む。商工会でも応援してほしい』という趣旨のお願いをされましたから。うち1人に対して『金沢さんの方からも言われている』と難色を示すと『知事は斎藤に決まりや。こっちを応援しないとえらいことになるぞ』。県民にそんなこと言ってええのかと思ったので、とてもよく覚えています。内部告発は事実。選挙前に県職員が選挙運動していいのかなと思いました」

「優勝パレードに寄付した信用金庫がうちの会社の取引金融機関です。昨年12月の忘年会で信用金庫の幹部と話した時に、『兵庫県は、小さな信用金庫にまで寄付を求めてくる。すぐ返事しないでいると補助金がついた。そのお礼で寄付した。いい宣伝にはなったが、露骨だ』とぼやいていました。ハンターの内部告発記事などをSNSで送信してやったら、すぐに電話があって『こんなことが表になったら大変だ』と声は上ずり、すっかり動顛していました」
「表になったら大変」という言葉は、内部告発のような「事実」があるから発せられたと考えるのが自然だろう。
 
以上のことを踏まえ、私はこれまでの県の対応について、次のように判断致します。
前県民局長は、決して少なくない職員の中で当たり前に語られていたことを、文書に記しただけではないかと考えます。現時点における県の事実確認が不十分であり、正確性に欠ける部分はあるが、大まかな事実はあっているものが、かなり存在していると言えるのではないでしょうか。
前県民局長の内部告発文書について、パワハラ問題などを含め、まだはっきりしていないものや、新たな情報が明らかになってきている中で、誹謗中傷文と断定するのは、時期尚早です。事実確認の調査を継続すべきでしょう。また事実確認が不十分な中での懲戒処分は、極めて大きな問題があると考えます。

それらのことを踏まえ、次のことを申し入れます。
1. 第3者機関を設置し、告発文だけではなく、今回のアンケート結果の内容等を調査し、マスコミ記事も参考にし、パワハラなどを含め今回の内部告発文書問題の事実関係を明らかにすること。
併せて、複数の幹部職員が関与している可能性のある県庁内でのパワハラ実態把握のため、パワハラアンケート調査を実施すること。
人事課の調査結果を公表すること。
第3者機関は公開する共に、事務局を外部に委託し、委員には、専門家、県民などを公募し、知事、副知事、人事課などの意思を一切排除すること。
2. 知事がこの3年間に受け取った提供品の一覧表を作成し、その処理についても明らかにすること。(秘書課などで管理しているもの、返還したもの、廃棄したもの、個人で持ち帰ったもの)
3. 今後のあらゆる調査に、公平公正を期すため「嘘八百」を撤回すること。
4.パレード担当課長が4月に自死したという話が出ているが、事実関係とその経緯を明らかにすること。
5.以上の内容を明らかにした上で、県民、県職員などに広く意見を募り再発防止策を策定すること。