県議会「政府へ共謀罪廃案を求める意見書提出を求める」請願 否決2017-06-09 18:35

市民から県議会に提出された「政府に共謀罪の廃案を求める意見書提出を求める」請願について、ひょうご県民連合、共産党、樫野議員、丸尾が賛成し、自公の反対で否決されました。

以下、私の賛成討論です。
「100も200も法律を出すのではなく、本当に法律を作ることで弊害が起きないか、ひとつずつ丁寧に審議して、決めて行くべきだと考えます。」

まず現在の法律体系を見てみますが、一般的には実行した犯罪を取り締まるのですが、例外的に未遂が定められ、極めて例外的に準備段階の予備罪が定められ、さらに例外的なものとして、共謀罪を認めています。

そんな中、現在国会で277の罪について共謀罪を適用出来るように「組織犯罪処罰法」の改正案が提案されています。窃盗、公文書・私文書偽造などテロとはかけ離れた比較的軽い罪まで共謀罪を当てはめてきています。

元自民党の早川忠孝衆議院議員の新聞報道でのコメントによると、過去に自民党は、2007年に自民党法務部会小委員会において、共謀罪の対象犯罪を123~155にまで絞り込みました。それからしても、277の罪に共謀罪を当てはめるのは、慎重な審議をせず、無責任な法案提出をしているとしか思えません。

私は、本当にテロ防止に役立つのであれば、法律改正はあっていいという立場です。但し、100も200も法律を出すのではなく、本当に法律を作ることで弊害が起きないか、ひとつずつ丁寧に審議して、決めて行くべきだと考えます。

その弊害とは、警察の権限行使のために、盗聴などを安易に行い、真っ当な市民活動なども捜査対象になりかねないということです。

共謀罪の法案の中には、国内希少野生動植物の捕獲等を禁止した種の保存法も入っていますが、自然保護団体が捜査対象にならないか心配です。私文書偽造は、どこまでも対象を広げることができ、別件逮捕などに使われそうです。

政府が共謀罪を導入する理由として、東京オリンピックが開催されることから、そのテロ対策を含め、国際組織犯罪防止条約加盟のために必要だと説明されています。

しかし、国連や外務省に問い合わせてみたのですが、条約の批准は、各国の意思に基づくものであり、条約批准が妥当かどうか、国連という機関が審査するものではないという回答でした。つまり、条約の批准とは、当該国が、その条約を批准したと宣言するだけのものです。ということは、日本の意思さえ明確であれば、今の法律体系で国際組織犯罪防止条約の批准ができるのです。条約では、長期4年以上の刑について、共謀罪法案の創設が不可欠としていますが、今回の法案の対象から、公職選挙法が外されているように、各国の判断で、その内容を一部留保することができます。

共謀罪を制定する理由として、過去と比べ犯罪件数等が減ってきたので、警察などの組織維持が目的だという推測もあります。

というのは、2002年と2015年の数字を比べると、全国の刑法犯の総数は2015年に2002年の約40%に減少、凶悪犯は約45%に減少。窃盗犯は約34%に減少。大幅に犯罪件数は減っており、政府の中で、警察予算や組織の縮小は、取り沙汰されている可能性があります。

今後も人口が減少して行く中で、犯罪件数が減れば、政府や各都道府県内部においては、警察組織の縮小は、当然議題に上がって来ます。それを出来るだけ維持したいというのは、行政組織の常です。

この間、公安調査庁も組織を縮小しないため、その監視対象に、労働組合、生協、ペンクラブ、市民オンブズマンなどにも広げられてきていると言われていますが、組織を維持するために、公安警察などが、同様の動きをしていく可能性は十分にあります。

そして法律ができ、予算がつくとどうなるのでしょうか。今度は、警察組織の中で、共謀罪で検挙して実績を作らなければという意思と力が働きます。そして、それが全うな市民活動や経済活動などに影響を及ぼす可能性があります。

心は常に変化していくものです。何人かで相談した時は、犯罪に手を染める決心をしたけれども、後で「警察に捕まり、子どもや家族に迷惑をかけてしまう」と、犯行を思いとどまる人も少なからずいるでしょう。一旦犯行を決断すれば、意思が変わることはないという勝手な決めつけで、裁かれるのが共謀罪です。

その影響を含め、一つひとつの法律案について、メリットデメリットの丁寧な検討が必要であり、組織犯罪処罰法の改正による大量の共謀罪の導入は問題が多く、一旦廃案すべきものと考えます。

以上のことから、私は、政府関係機関に「組織犯罪処罰法」改正案の廃案を求める意見書を提出するために、2件の請願を採択すべきものと考えます。

議員各位には、ご賛同いただきますようお願いし、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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