兵庫県「行革の手綱を緩めるため?」実質公債費比率を操作2016-10-24 18:15

 本日、知事と監査委員に対し、自治体の財政指標のひとつである実質公債費比率の操作等を止めるよう申し入れ書を提出しました。実質公債費比率を操作して、県行革の手綱を緩めているのではないかと考えられます。

○申入書本文
 国は、2005(平成17)年度までの地方債発行の許可制度を改め、協議制度へと移行しましたが、実質赤字比率や実質公債費比率が一定水準以上の地方公共団体については、地方債の発行は引き続き総務大臣、知事などの許可が必要となりました。
 実質公債費比率が18%以上になると、公債費負担適正化計画を立てた上で、起債が許可されるようになります。25%以上35%未満の団体は、一般単独事業債等に係る地方債を起こすことができません。

 兵庫県では、上記のように、国が実質公債費比率などの財政指標等を設定したことから、その対策のため、2006年度(平成18年度)より、公共施設整備基金など特定目的基金を県債管理基金に組み入れ、実質公債費比率を操作することにしました。
 その結果、対外的に公表している2014年度決算における単年度の実質公債費比率は15.4%、3カ年平均は、15.8%となりました。
しかし、2014年度決算における特定目的基金を除いた適正な単年度の実質公債費比率は18.6%、3カ年平均は17.6%でした。
 2015年度決算における単年度の実質公債費比率は18.5%、3カ年平均は16.8%ですが、先日の樫野孝人議員の決算特別委員会における質疑で明らかになった特定目的基金を除いた適正な単年度の実質公債費比率は21.6%、3カ年平均は19.5%になります。

 今回、これらの実質公債費比率の操作等について、公会計、監査論が専門の関西学院大学大学院経営戦略研究科教授で、公認会計士でもある石原俊彦氏に意見書を書いていただきました。
意見書のポイント
・特定目的基金の県債管理基金の積み上げには、財政指標の意図的な改ざんする意図が潜在する。
・県債管理基金には強い流動性が求められるべきであり、実質的な特定目的基金の一時組換えや、流動性の乏しい美術品や土地を基金に算入することは、「会計倫理」の視点から厳に慎むべき会計行為。
・上記の点について、監査委員の補足的な説明が審査意見書上でなされるべきであり、意見も付記もなく、財政指標の数値を適正なものと認める監査行為は、監査人に求められるべき職業的な倫理に照らして問題がある。
 
以上の意見書を踏まえ、以下の申し入れを致します。
申し入れ事項
・特定目的基金の県債管理基金への積み上げを止め、全国都道府県と比較ができる適正な実質公債費比率などの財政指標を求め、毎年自主的に公表し、総務省に報告すること。
・絵画や土地などの流動性の乏しいものは、県債管理基金から除外すること。
・特定目的基金や流動性の乏しいものを除外した上で、3カ年平均の実質公債費比率が18%以上になった時は、公債費負担適正化計画を策定すること。
・監査委員は、審査意見書の中で、上記の点について、なぜ適正なのか補足的な説明を行うこと。
                                以上