2014年度 全国中学校 授業中柔道事故 医療費支給3967件 骨折1263件2016-03-14 20:44

~柔道事故の検証と安全対策の徹底を~
 今年度、柔道部の活動で2人死亡者が出ました。一人は、福岡市の中学1年生女子が大外刈りをかけられ、頭部外傷で、もう一人は、横浜市の私立高校1年生で、熱中症で死亡しました。名古屋大学大学院准教授の内田良さんの報告によると、1983年から現在まで、学校の部活や授業で、120名が亡くなっています。兵庫県においても、2005(H17)年に県立高校での部活動中に、頭部を打って死亡した事例があります。

 このような状況の中、2012年から全国の中学校において、武道の必修化が始まりました。柔道、剣道、相撲等の中から選択できますが、比較的指導者が多く、柔道着を用意するだけなので、柔道が好まれるようです。2012年に文部科学省が行った調査では、64%が柔道を選択していました。

 2015年度に兵庫県では、中学校の武道で、柔道を選択したのは56.1%、男子、女子で分かれているのだと思いますが、柔道と剣道2種目を選択したのは7.8%、柔道となぎなたは2%となっています。

 武道については、熟練した指導者があまりいないにもかかわらず、いきなり必修化した政府の対応は極めて乱暴だと思いますが、現状がどうなっているのか、検証が出来ればと思い本日兵庫県議会で質問しました。

 その前段で、学校での事故で医療費の支給などを行う日本スポーツ振興センターに、全国都道府県の体育の授業における柔道事故の医療費の支給件数、骨折事故について、資料を整理してもらいました。

 その資料によると、2014年度、全国で医療費が支給された柔道事故は3,967件あり、そのうち骨折事故は1,263件。兵庫県における医療費が支給された事故は234件、全体の5.9%で全国4位の数字です。兵庫県における骨折は、79件、全体の6.3%でこちらも全国第4位の数字です。

 日本スポーツ振興センターが公表している2014年度の小中高校における組体操の事故で、医療費が支給された件数は8292件、そのうち2095件が骨折ですが、その数字から見ても、中学校の授業における柔道事故、骨折事故は、同等かそれ以上に件数が多いように思います。

 そのことも踏まえ、柔道事故の減少に向けた県教育委員会としての方針とその取組について聞いたところ、
①一定の指導歴、研修歴を持った教員が指導にあたることができる体制整備
②学習段階、個人差を踏まえ、段階的な指導を行うなど安全に十分に留意した計画策定
③畳のずれを防ぐ装置の設置など安全な場の確保
④事故が発生した時の応急処置緊急連絡体制の整備を行う。

などの答弁がありました。併せて、「柔道事故ゼロを目指す」と決意を語っていただきました。

 柔道は、頭部を打たなくても、頭部の回転によって加速損傷により、死に至る場合もあります。セカンドインパクトと言って、2度目の軽度の頭部外傷で、死に至る場合もあります。

 柔道事故は、その内容を検証すれば、かなりの部分、対策が取れると思います。中学校だけではなく高校においても、安全対策がしっかり取られることを要望し質問を終えました。             

兵庫県議会HP
http://www.hyogokengikai.jp/broadcast/20160314-7.wvx