放射線量の高い地域に生徒を訪問させないで!2013-11-15 18:43

この8月に、ある兵庫県立高校生徒が、福島市と相馬市を訪れ、ボランティア活動を行いました。被災地への支援は大切ですし、生徒の人間形成にも大きく役立つでしょう。
しかし、福島市や相馬市では、まだ放射性量が高いところが少なからずあるにもかかわらず、生徒が作業中にマスクをする、ホットスポットは避ける、基準値内でも線量が高い食事は避けるなどの被曝線量を低減させる取り組みは、全くとっていませんでした。
福島市の放射線量を見ると、放射線量が低くなったところがある一方で、その中では食事はできず、服は廃棄処分しなければならない放射線管理区域(0.6μSv/h)に相当するところが、一定存在しています。民間団体の最近の調査でも、チェルノブイリ事故の強制避難地域(9.9μSv/h、追加被曝年5mSv以上)に相当するところも見つかっています。

また、国のモニタリングスポットの計測数値は、周辺を除染している場合が多いことから、実際の線量より、低く出るところが多いと、複数の市民団体が指摘しています。
福島原発事故前は、追加被曝は年1mSvが基準でした。 
そもそもICRPなどの国際的な機関では、低線量であっても被曝しただけリスクは増えるとの考え方に立っており、無用な被曝は避けることが基本です。

以上のことなどを考慮し、11月11日、県教育委員会委員長、県教育委員会教育長宛に、下記の申し入れを行いました。

・県内の学校に通う児童、生徒については、修学旅行等で、チェルノブイリ原発事故時の放射能管理強化ゾーンにあたる追加年間被曝線量0.5mSv(空間線量0.135μSv/h)を超える地域には行かせないこと。
・追加年間被曝線量0.5mSv(空間線量0.135μSv/h)以下の地域であっても、放射性物質に汚染されたホットスポットが存在し、その場所を通らないように案内等がされていない地域に生徒を連れて行くのは、極力避けるべき。
万一、その周辺に行く時は、事前に放射性物質の空間線量、土壌汚染度等をきちんとチェックし、ホットスポットに近づかない、マスクを着用する、肌を極力出さない、キノコ類や山菜類など放射性物質が比較的高い食べ物は摂取しないなどの対策をとること。
また、現状を保護者、児童・生徒にきちんと説明し、合意を得た上で、実施すること。不安感を持つ児童、生徒を無理に連れて行かないこと。参加しない児童・生徒にマイナス評価をつけないこと。
・長期休暇時に、福島県内などに住む児童・生徒を、兵庫県に招待し、保養を行うと共に、県内の児童・生徒と交流することなどを検討すること。
今後の対応をしばらく見ていきたいと思います。 
※参考までに、福島大学の放射線副読本研究会作成の副読本の見てみて下さい。極端に安全だとも言わず、極端に危険だとも言わず、ニュートラルな立場で、放射線に関する情報をまとめています。

https://www.ad.ipc.fukushima-u.ac.jp/~a067/SRR/FukushimaUniv_RadiationText_2nd_version.pdf